■死の秘宝

29:死の秘宝


 翌朝、五人は風の強い丘陵地に姿現しした。クリーチャーは、シリウスの所に行っていて、今はいなかった。そもそも、ルーナの家に行くだけなのだから、危険も何もない。

 それでも、周囲の目を気にしながらコソコソと移動した。ハリーとハリエット、ドラコはハーマイオニーの強硬な意見により、透明マントに隠れていた。

 五人は二、三時間歩き、ラブグッド家を探した。ロンの直感曰く、ラブグッドの家なら、窓から覗けば一目でそれだと分かるはずだという。

 二度目の姿現しをしたとき、遠くの方に世にも不思議な縦に長い家がくっきりと空にそびえていた。巨大な黒い塔のような家の背後には、ぼんやりとした幽霊のような月がかかっていた。

「あれがルーナの家に違いない。他にあんな家に住む奴がいるか?」

 ロンの言葉にはなかなか説得力があった。近づくと、手書きの看板が壊れた門に止めつけてあった。『ザ・クィブラー編集長X・ラブグッド』と書かれている。

 玄関までの道には様々な変わった植物が伸び放題だった。玄関の両脇に立つのは、豆リンゴの古木が二本。その枝には鷹のように頭のてっぺんがひしゃげた小さなふくろうが一羽止まっていた。

「可愛い」

 ハリエットが手を伸ばすと、ふくろうはその指を甘噛みした。

「ルーナのふくろうかしら」
「早く行くよ」

 ハリーが急かした。

 扉の前に立つと、ハリー達はマントを外し、扉を三度ノックした。

 ものの十秒も満たないうちに扉がパッと開き、そこにゼノフィリウス・ラブグッドが立っていた。裸足で、汚れたシャツ型の寝間着のようなものを着ている。

「何事だ? 君たちは誰だ? 何しに来た?」

 ゼノフィリウスは甲高い苛立った声を上げ、ハリーを見ると、口をぱっくり開けた。

「こんにちは、ラブグッドさん。僕、ハリー・ポッターです」

 ハリーは手を差し出したが、ゼノフィリウスは握手をしなかった。

「中に入ってもよろしいでしょうか? お聞きしたいことがあるのですが」
「私は……まあ、良いでしょう。入りなさい。急いで!」

 敷居をまたぎきらないうちに、ゼノフィリウスは扉をバタンと閉めた。五人はキッチンを通り抜け、二階の居間へ案内された。ルーナはそこにいなかった。

「どうしてここに来たのかね?」
「助けていただきたいんです」
「ああ、ふむ、助けね」

 ゼノフィリウスはハリーの傷跡をチラチラ見た。怯えながら、同時に魅入られているようにも見えた。

「そう、問題は……ハリー・ポッターを助けること……かなり危険だ……」
「ハリーを助けることが第一の義務だって、皆に言っていたのはあなたじゃないですか? あなたのあの雑誌で?」

 ロンの言葉に、ゼノフィリウスは目を瞑った。

「あー、そうだ……。そういう意見を表明してきた。しかし――」
「他の人がすることで、あなた自身がやることではないってことですか?」

 ゼノフィリウスは動揺したように何度も唾を飲み込んだ。

「ルーナはどこですか?」

 ハリエットは気になっていたことを口にした。ゼノフィリウスはゴクリと大きく唾を飲んだ。

「ルーナは川に行っている。川プリンピーを釣りに。ルーナは……君たちに会いたいだろう。呼びに行ってこよう。それから――そう、君たちを助けることにしよう」

 ゼノフィリウスは螺旋階段を降りて、姿が見えなくなった。玄関の扉が開いて、閉まる音が聞こえた。

「臆病者のクソチビめ。ルーナの方が十倍も肝が太いぜ」
「あの人は本当に味方なのか?」

 ルーナもその父もよく知らないドラコが不安そうに尋ねた。

「そのはずよ。ハリーがここに来たことが死喰い人に知られたらって心配してるのよ」
「そうね……。でも私はロンと同じ意見よ。偽善者も良いとこだわ。他の人にはハリーを助けるように言っておきながら、自分自身はコソコソ逃げ出そうとするなんて」
「でも、ルーナのことを考えたら、不安に思う気持ちも分かるわ。ホグワーツにも死喰い人がいるのよ。もしルーナに矛先が向かったらと思うと……」

 玄関の扉が閉まる音がして、まもなくゼノフィリウスが螺旋階段を上って部屋に戻ってきた。バラバラなティーカップをいくつかと、湯気を立てたティーポットを載せた盆を持っている。

「ガーディルートのハーブティーはいかがかな? 自家製でね」

 赤カブのような赤紫色の飲み物を注ぎながらゼノフィリウスは続けた。

「ルーナは『端の橋』の向こうにいる。君たちがいると聞いて興奮しているよ。しばらくしたら来るだろう。我々全員分のスープを作るぐらいのプリンピーを釣っていたからね。さあ、かけて」

 ゼノフィリウスは、先ほどよりも少しだけ落ち着いているように見えた。

「さてと、ミスター・ポッター、何をすれば良いのかな?」
「ラブグッドさん、ビルとフラーの結婚式の時、あなたが首から提げていた印――あれにどういう意味があるのかをお聞きしたいんです」
「『死の秘宝』の印のことかね?」
「死の秘宝?」
「その通り。君たちは『三人兄弟の物語』を良く知っているのだろうね?」

 知らないのはハリーとハリエットだけだった。

「さてさて、ミスター・ポッター、すべては三人兄弟の物語から始まる。どこかにその本があるはずだが」

 ゼノフィリウスは立ち上がったが、すぐにハーマイオニーがそれを制した。ハーマイオニーはバッグから吟遊詩人ビードルの物語を引っ張り出した。

「ラブグッドさん、私がここに持っています」
「原書かね? じゃ、それを声を出して読んでみてくれないか? 皆が理解するためには、それが一番良い」
「分かりました」

 ハーマイオニーは本を開いた。

「昔々、三人の兄弟が寂しい曲がりくねった道を、夕暮れ時に旅していました――」

 ハーマイオニーが語り始めた話は、長い話だった。

 兄弟は、歩いて渡れない川にたどり着いたが、三人は魔法が使えたので、杖を一振りして橋を架けた。半分ほど渡ったところで、フードを被った何か――『死』が行く手を塞ぎ、語りかけた。

 『死』は、三人がまんまとしてやられたことに内心怒っていたが、そのことは微塵も見せず、『死』を免れるほど賢い三人にそれぞれ褒美をあげると言った。

 長男は戦闘好きだったので、どの杖よりも強い杖を望んだ。『死』はニワトコの木で作った杖を与えた。次男は傲慢な男だったので、『死』をもっと辱めようとし、人々を死から呼び戻す力を要求した。『死』は川岸から石を渡し、その石に死者を呼び戻す力を与えた。三男は、兄弟の中で一番謙虚で、一番賢かった。『死』を信用せず、『死』に跡をつけられずにその場から先に進むことができるようなものを望んだ。『死』は渋々自分の持ち物の透明マントを与えた。

 やがて三人は分かれ、それぞれの目的地に向かった。長男は遠い村で決闘をし、勝利した。そして旅籠で『死』から奪った強力な杖について大声で話し、無敵になったと自慢した。その晩、一人の魔法使いが酔い潰れている長男に忍び寄り、杖を奪って、ついでに長男を殺害した。

 次男は、家に戻り、石を手の中で三度回した。驚いたことに、若くして死んだ、その昔結婚を夢見た女性の姿が現れた。しかし彼女は悲しそうで冷たく、その上完全にはこの世には馴染めずに苦しんだ。次男は彼女と本当に一緒になるために、自らの命を絶った。

 三男は、『死』が何年探しても、決して見つけることができなかった。三男が高齢になったときに、ついに透明マントを脱ぎ、息子にそれを与えた。そして彼は『死』を古い友人として迎え、喜んで『死』と共に生き、同じ仲間として一緒にこの世を去った。

 ハーマイオニーは本を閉じた。ゼノフィリウスはハーマイオニーが読み終えたことにすぐには気づかず、一瞬間を置いてから窓を見つめていた視線を外して言った。

「まあ、そういうことだ。それらが死の秘宝だよ」

 ゼノフィリウスは散らかったテーブルから羽根ペンと羊皮紙を引っ張り出した。

「ニワトコの杖」

 ゼノフィリウスは羊皮紙に縦線を真っ直ぐ一本引いた。

「蘇りの石」

 続いて縦線の上に円を描いた。

「透明マント」

 最後に縦線と円とを三角で囲んで、ハーマイオニーの関心を引いていたシンボルを描き終えた。

「三つを一緒にして、死の秘宝という」
「でも、死の秘宝という言葉は物語のどこにも出てきません」
「それはそうだ。それは子供のお伽噺だから、知識を与えるよりも楽しませるように語られている。しかしこういうことを理解している我々の仲間には、この昔話が死の秘宝を指しているのだと分かる。もし三つを集められれば、持ち主は死を制する者となるだろう」

 一瞬の沈黙が流れ、その間にゼノフィリウスは窓の外をチラリと見た。太陽はもう西に傾いていた。

「ラブグッドさん」

 ハーマイオニーがゆっくりと言った。

「あなたは、それらの品――『秘宝』が実在すると信じているのですか? 私達、透明マントの類いが存在することは知っています。珍しい品ですが、存在します。でも――」
「ああ、しかし三番目の秘宝は間違いなく本物の透明マントなのだ! 旅行用のマントに目くらまし術を染みこませたり、眩惑の呪いをかけたりした品じゃない。何年か経つと色あせて半透明になってしまうような代物じゃない。本物のマントは永久に長持ちする。そういうマントをこれまで何枚見たかね?」

 ドラコ以外の、ハリー達四人が顔を見合わせた。同じことを考えているのだとハリエットは分かった。ゼノフィリウスがたった今説明してくれたマントと寸分違わぬ品が、この部屋に、しかも自分たちの手にある。

「でもそんな、荒唐無稽な……」
「杖についてはもっと証拠がある。秘宝の中でもニワトコの杖はもっと容易に跡を追える。杖が手から手へと渡る方法のせいだがね。真に杖の所持者となるためには、その前の持ち主から杖を奪わなければならないということだ」

 一瞬の沈黙の後、ハーマイオニーが質問した。

「じゃあ、ペベレル家と死の秘宝は何か関係がありますか?」

 ゼノフィリウスは度肝を抜かれた顔をした。

「なんと、どうやら私は今まで君を秘宝の探求の初心者だとばかり思っていた! 探求者達の多くは、ペベレルこそ秘宝の全てを握っていると考えている!」
「ペベレルって誰?」

 ロンが聞いた。

「ゴドリックの谷にその印がついた墓石があったの。その墓の名前よ」
「いかにもその通り。イグノタスの墓の死の秘宝の印こそ、決定的な証拠だ! 物語の三兄弟とは実在するペベレル家の兄弟、アンチオク、カドマス、イグノタスであるという証拠だ! 三人が秘宝の最初の持ち主達だという証拠なのだ!」

 またしても窓の外に視線を走らせると、ゼノフィリウスは螺旋階段に向かった。

「どう思う?」

 ハリーはハーマイオニーに聞いた。ロンとハリエットも集まった。ドラコは一人離れ、窓の側に行った。

「ああ、ハリー、馬鹿馬鹿しいの一言よ。あの印の本当の意味がこんな話のはずはないわ。時間の無駄だった」
「でも、ハリーの持ってるマントは本物じゃないの?」

 ハリエットは首を傾げた。

「それに、墓場で――ハリーの杖と例のあの人の杖が繋がったとき、お父さんとお母さんのゴーストみたいなのが出てきたでしょう? 実際に話せたでしょう? ああいうのを応用した何かがあったら――それは、蘇りの石って呼ばれるんじゃない?」

 ハーマイオニーは何かもの言いたげな視線をハリエットに向けた。死者と話はできないと宣言したくてうずうずしている顔だった。

「でも――単なる道徳話なのよ」

 ハーマイオニーは、違う方面から切り崩すことにしたようだ。

「どの贈り物が一番良いかは明白だわ。どれを選ぶべきかといえば――」

 ハリエット以外の三人が同時に声を出した。ハーマイオニーはマント、ロンは杖、ハリーは石と言った。

 それぞれが熱を入れて己の主張の正しさを熱弁した。ロンは、マントも正解だろうが、杖があれば透明になる必要もなく、無敵だと言った。

 ハーマイオニーはマントに随分助けられたし、杖の方は、間違いなく面倒を起こすとキッパリ言った。

 ハリーは、もし呼び戻せるなら、父と母を呼び戻したいと言った。

「ハリエットはどうなの?」

 死の秘宝はないと宣言したハーマイオニーだが、なかなかこの議題には熱が入っているようだった。ハリエットはうーんと悩んだ。

 石は確かに魅力的だ。もう一度、きちんと父と母と話がしたい。だが、透明マントも手放せない。もし――突然目の前にヴォルデモートが現れたとしても、ハリーはマントで隠れられる。ハリーがこの世からいなくなることを考えるのは、ハリエットにとって耐え難いことだった。ハリエットにとっては――本当は比べたくもなかったが――今はいない両親よりも、ハリーの方が大切だった。

「私も、透明マント」
「そうよね!」

 ハーマイオニーは嬉しそうに言った。

「ねえ、マルフォイはどうなの?」

 ハーマイオニーはドラコの方を振り返った。

「マルフォイ?」

 だが、彼は窓の外をじっと見つめただけだった。ハリエットは彼に近づく。ロンとハーマイオニーは、再び議論に熱を入れ始め、ハリーも立ち上がって階段を登った。

「どうかしたの?」

 ハリエットがすぐ隣までやってきて、ドラコはようやく気づいたようだ。

「いや……ミスター・ラブグッドがずっと窓の外を気にしていたから」
「ルーナの帰りが遅いからじゃないの?」

 そう言って、ハリエットは窓から身を乗り出した。

「あら、ふくろうがいないわ」

 木の枝に止まっていたふくろうが、どこかに飛んで行ってしまったのか、今はいない。枝が寂しげに風に揺れていた。

「どこに行っちゃったのかしら」

 ドラコは眉をしかめ、身を翻した。螺旋階段の所で、三階から降りてきたハリーとかち合う。ハリーは怖い顔で階段を降りていった。彼の後にドラコも続く。ハリエットも一階まで降りた。

「ルーナはどこですか」

 スープ皿を乗せた盆を持ち、キッチンから出てきたゼノフィリウスにハリーが聞いた。

「さ……さっきから言ってる通りだ。『端の橋』でプリンピー釣りをしている」
「それじゃ、なぜお盆に六人分しかないんですか?」

 ハリーは続けた。

「ルーナは、もう何週間もここにはいない。洋服はないし、ベッドには寝た跡がない。ルーナはどこですか?」

 ハリー達は杖を抜いた。

「庭にふくろうはいませんでした。どこに知らせを出したんです?」

 ドラコは尋ねた。いつの間にかすぐ後ろにいたハーマイオニーが、杖をゼノフィリウスに向けたまま、屈んで一冊拾い上げた。

「これ見て」

 『ザ・クィブラー』の表紙には、ハリーの写真と共に、『問題分子ナンバーワン』の文字が鮮やかに書かれ、見出しには賞金額が書いてあった。

「ふくろうの行き先は魔法省ですか? それとも死喰い人?」

 ゼノフィリウスは唇をなめた。

「私のルーナが連れ去られた。私が書いていた記事のせいで、あいつらは私のルーナを連れて行った。どこにいるのか、連中がルーナに何をしたのか、私には分からない。しかし、ルーナを返して貰うのには、もしかしたら――もしかしたら――」
「ハリーを引き渡せば?」

 ハーマイオニーが言葉を引き取った。

「そうはいかない。僕たちは出て行くんだから」

 ロンがキッパリ言った。

「連中は今にもやってくる。君たちはここを出てはならないのだ」
「ハリー!」

 ハーマイオニーが悲鳴を上げた。箒に乗った人影が窓の外を飛んでいた。五人が目を離した隙に、ゼノフィリウスが杖を抜いた。ハリエットはそのことに気づくのが遅れたが、横っ飛びにドラコに押し倒されながら、間一髪、ゼノフィリウスの失神呪文が部屋を横切って、角のようなものに当たったのが見えた。

 凄まじい爆発だった。瓦礫が四方八方に飛び散り、もうもうたる埃で辺りが真っ白になる。やがてその少し後に、ゼノフィリウスが螺旋階段を落ちていく音が響いた。

 咳き込みながらハリエットは立ち上がった。舞い上がる埃でほとんど息もできず、目も見えない。

 隣でドラコが立ち上がるのが分かった。

「大丈夫?」

 ハリエットが囁くと同時に、一階の扉が大きな音を立てて開いた。

「二階に……ポッターが!」
「先週言ったはずだぞ、ラブグッド。もっと確実な情報でなければ我々は来ないとな! 先週のことを覚えているだろうな? あの馬鹿馬鹿しい髪飾りと娘を交換したいと言ったな? そんなもので我々が娘を帰すと思ったと?」
「違う……違う! 本物のポッターだ!」
「それなのに、今度は我々をここに呼んでおいて、吹っ飛ばそうとしたとは!」
「セルウィン、この家は今にも崩れ落ちそうだぞ」

 もう一人の冷静な声が響いてきた。

「ホメナム レベリオ! 人現れよ!」

 階段下で音がした。それから何かがハリエットの上にスーッと低く飛んできて、その影の中に身体を取り込むような奇妙な感じがした。

「上に確かにいるぞ」
「お前の娘を帰してやろう。この階段を上がって、ハリー・ポッターをここに連れてきたならばな」

 ゼノフィリウスが、恐怖でむせび泣きながら、階段を覆う瓦礫をかき分け、上がってこようとするのが分かった。

「ハリー、私を信じてくれる?」

 ハーマイオニーが囁いた。双子は揃って頷いた。

「オーケー、じゃあ透明マントを使うわ。ハリエットとロン、マルフォイが着るのよ」
「僕たち? でも、ハリーが――」
「お願い、ロン! ハリー、ハリエット、私の手をしっかり握って。ロン、マルフォイ、私の肩を掴んで」

 ハーマイオニーを囲むようにして、四人は立った。ゼノフィリウスは浮遊術で瓦礫を動かしている。

「しっかり掴まって。もうすぐよ」

 ゼノフィリウスの真っ青な顔が現れた。

「オブリビエイト!」

 ハーマイオニーはまずゼノフィリウスの顔に杖を向けて叫び、それから床に向けて叫んだ。

「デプリモ! 沈め!」

 ハーマイオニーは居間の床に穴を開けていた。五人は石が落ちるように落下していった。皆ハーマイオニーの手や肩をしっかり掴んだままだった。下で悲鳴が上がり、降ってくる瓦礫を避けて逃げる二人の男の姿が目に入った。

 ハーマイオニーが空中で身をよじり、彼女に引きずられてハリエット達は再び暗闇の中に入っていった。