■過去の旅
27:縮んだ少年
空き教室で時間を潰していると、やがてハリーの姿は元に戻った。ハリーの元の制服はジェームズに貸す予定だったために、ハリーは少々ブカブカになってしまった袖をまくり上げた。
「次は僕の番だね」
ジェームズは縮み薬の匂いを嗅いだ後、一気にガラス瓶を煽った。飲み干すのは早かったが、その代わりに顰めっ面を浮かべる。
「うわ、何この味。まずいな」
うっかり『ポリジュース薬の方が最悪だよ』なんて口走らないようにハリーは注意した。もしかしたら老け薬よりも縮み薬の方がまずいのかもしれないが、それでもゴイル味のポリジュース薬には負けるだろう。
ハリーがそんなことを考えている間にも、みるみるジェームズの背丈は縮んでいった。ついには、今のハリーと同じ背格好になる。鏡を見ながら、ジェームズが感嘆の声を吐き出した。
「うわーお、分かってはいたけど、驚きだ! 本当にハリーにそっくり! 十四歳の僕ってこんな感じだったのか」
興奮したようにペタペタ己の顔に触れるジェームズ。まだ若干丸みのある輪郭に、あまりゴツゴツしてない手指が物珍しいようだ。
「そうか、そういえば口調も変えなくちゃ。あー、あー、ロン、ハリエット? この辺りはいつも通りか。リリー、リリー……。ちゃんとリリーって呼ばないとね」
嬉しそうに言うジェームズに、ハリーは嫌な予感を覚えた。
「ジェームズ、まさか、リリーって呼びたいがためにこの悪戯を計画した訳じゃないよね?」
「まさか! 僕はそこまで浅はかじゃないよ!」
慌てて両手を振るジェームズだが、どうにも怪しい。何度も口の中で『リリー』と口ずさむジェームズは、正直言って胡散臭い。ハリーはこっそりため息をついた。
寮への道のりは、ハリーほど困難ではなかった。今のハリーにはほとんど知り合いもいないのだからそれも当然だ。あっという間に談話室に到着すると、ジェームズはサッと室内に視線を走らせ、そのまま寝室に向かうことにした。ハリエットとハーマイオニーはまだ隅で勉強しており、声をかけても良かったが、先ほどハリーの一件でハーマイオニーには怪しまれている。それならば、いざとなったらこちら側に引き込めるシリウス達の方から騙しに入るのが得策だろう。
いつもの癖でノックも無しに寝室に飛び込もうとしたジェームズだが、すんでの所でハリーが代わりにノックをした。間を開けてリーマスがどうぞと返事をする。
「忘れ物はあった?」
「うん」
リーマスは普通に問いかけただけだが、今のジェームズにはひどく意味深に聞こえた。微笑みながらジェームズの背後に視線を走らせる彼に、きっとこの計画は見抜かれているのだろうとジェームズは冷や汗を流す。それでも、悪戯仕掛人たるもの、平静を装わなければ。
「ジェームズは?」
わざとらしく聞くジェームズに、リーマスは口角を上げた。
「トイレに行くって言ったきり戻ってこないよ。何してるんだろうね」
「どうせエバンズにちょっかいかけてるんだろう」
シリウスがどうでも良さそうに口を挟んだ。自分の扱いに若干腹を立てながらも、ジェームズはピーターとロンの間に腰を下ろした。
つい先ほどまで、熱を入れて悪戯の計画を建てていたというのに、好奇心旺盛な男子の興味は別のものに移ったようで、それぞれが別々のことをしていた。ロンは城の防衛を主とする立体的なボードゲームに夢中だし、シリウスはマグルの雑誌を読みふけっている。リーマスは課題のレポートをこなし、ピーターはと言うと、見慣れた古びた羊皮紙を熱心に見つめている。
「ピーター、それって――」
「アッ――えっと、これ? 忍びの地図だよ。前にちょっと見たことあるよね? 誰がどこにいるのかすぐに分かる地図。ミセス・ノリスの名前が載るようにできないか試してて――」
「ぼ、僕にも見せてよ」
控えめに言いながらも、ジェームズは強引に地図を奪い取った。こんな時に忍びの地図を見られたらひとたまりもない。もしもグリフィンドール塔の寝室に目がいって、今この場に、『ジェームズ・ポッター』という名前があることに気付かれでもしたら一発退場だ。ジェームズは地図に興味がある振りをして、ピーターには意地でも返さなかった。
だが、それにも飽きると、ジェームズは暇になってくる。ただただ暇だ。ハリーがジェームズになって懸命に悪戯のアイデアを考えている最中、ジェームズは横からいくつもの画期的なアイデアを言いたくて堪らなかったのだ。今だってそうだ。ようやく自分の番が回ってきたというのに、誰にも相手をしてもらえないなんて酷すぎる。ロンのボードゲームには、城門ばかり守って、後ろの崖近くの城壁の防衛が疎かだと口を挟みたくて仕方ないし、ピーターには、今やっている勉強は課題の範囲外だと言ってあげたい。リーマスには、監督生の見回りの仕事に自分もついて行っていいか再度頼みたいし――やりたいことが多すぎてウズウズしている中、この放置は酷だ。
しばらく悩んだ結果、ジェームズはシリウスに狙いを定めることにした。シリウスの読んでいるマグルの雑誌が一番自然に話題に入れそうだし、からかいがいがありそうだと思ったからだ。
「何読んでるの?」
ジェームズがシリウスに近づけば、彼は横に退いて座る場所を開けてくれた。
「マグルのバイク雑誌だよ。バイクに興味はあるか?」
「うーん、格好いいとは思う」
「だろ。一人暮らしを始めたら一番にこいつを買うつもりなんだ」
シリウスはハンサムだ。得意気に微笑む姿すら絵になる。この整った顔立ちを思い切り歪ませてみたくなって、ジェームズはほくそ笑む。
直情的で気分屋で、下手したらジェームズよりも手に負えないにも関わらず、その見た目と育ちの良さからちっともそう思われず、むしろクールだと噂されているシリウス。ジェームズからしてみれば、前々から納得がいかなかったのだ。ハリー達からだって、どこか一目置かれている節がある。ここは一つ、その化けの皮を剥がしてみようじゃないか。
先輩風を吹かせているのも今のうちだけだ。
ジェームズはニマニマ口角が上がりそうになるのを必死に堪えながら、おもむろにベッドと壁の隙間に手を突っ込んだ。
「シリウス、ここに何か落ちてるよ」
「ん?」
何気なく顔を上げたシリウスは固まる。ポカンと間抜け面で。
「――だあーっ! それはっ!」
シリウスは慌てふためいて手を伸ばしたが、時すでに遅し。その時には等身大のポスターはデカデカと人の目に晒されていた。
「ウワーオ」
若干頬を染めながらロンが呟いた。
「シリウスもこういうのに興味があるんだね」
ジェームズの手に提げられているのは、ビキニ姿の若い女性のポスター。ちょっと扇情的なポーズでこちらに向かって微笑んでいる。
「違う! これは――違う!」
慌ててシリウスはジェームズの手からポスターを引ったくったが、衆目の目に晒されたという点に変わりはない。生暖かい視線が彼に突き刺さる。ジェームズの目論見通り、すっかり先輩としての威厳形無しである。
駄目押しとばかり、ジェームズはわざとらしく眉を下げて笑ってみせた。
「ちょっと意外だったな……。なんとなくシリウスはクールなイメージだったから……」
「これは! ジェームズが面白半分に渡してきたやつだ! どうにか家の奴らに一泡吹かせられないかって相談したら、永久粘着呪文で自分の部屋の壁に貼り付けるのが一番だって!」
「ハリエットもショックだろうな……」
「言わないでくれよ!」
「言わない……言えるわけないじゃないか。ハリエットもハーマイオニーも、シリウスのこと憧れてるって言ってたのに……」
シリウスがうっと詰まる。その顔がおかしくて堪らず、ジェームズはますます調子に乗った。
「お、おい、ハリー、どこに行くつもりだ?」
「ちょっと二人の所に――」
「何しに行くつもりだ!?」
シリウスは怖い顔で立ちはだかったが、今のジェームズは敵なしだ。あくまで無邪気な顔でその横を通り過ぎる。
「おい、ハリー!」
「今日やらないといけない課題を思い出したんだ。ハーマイオニーに教えてもらわなくちゃ」
「そんなの俺が教える! ハリー、待つんだ!」
シリウスはジェームズの前に回り込んだ。その目はまるで獲物を追う獅子だ。
「ハリー、何が気に食わない? 俺が教えるから」
「優しく教えてくれる?」
「や、優……? ああ、教える! 分かりやすく教えるから!」
「僕バタービールが飲みたいなあ」
「取ってきてやる! そんなの厨房からすぐにでも!」
「マクゴナガルの罰則代わってくれる人いないかなあ」
「ああ、代わって――ん? ハリー、罰則なんて受けたのか?」
きょとんとした顔も絵になるのはずるい。だが、それ以上に何より、ジェームズは毒気を抜かれたようなその顔がおかしくて仕方がなく。
「パッドフット……ッ!」
「……ハリー?」
「あはははっ!」
ついには我慢できずに、ジェームズはお腹を抱えて笑い出した。場違いなほどの笑い声が響き渡る。
「パッドフットのその間抜け面を見られただけでも大満足だよ! いやあ、大成功! くくくっ!」
「お前――まさか、ジェームズか!?」
シリウスはガッチリジェームズの肩を捕まえ、顔、腕、身体を半ば混乱しながらペタペタ触る。
「どうなってる!? あ――いや、縮み薬か!?」
「ご名答! ハリー、出てきなよ!」
何もないところから、申し訳なさそうな顔でおずおず出てくるのはハリー・ポッターその人で。
シリウスは呆然とハリーとジェームズとを見比べた。
「うわあ、まさかこんなにそっくりだとは……」
ロンが感嘆の声を漏らす。見事に騙されていたことよりも、今目の前にいるまさに生き写しの少年二人に驚きを隠せない様子だ。
「リーマスは気づいてたろう?」
いつもより短い髪が気になり、くしゃくしゃかき回しながらジェームズが尋ねた。
「まあね。いつもうるさいくらいのジェームズがやけに大人しかったから、これは何かあるなって」
「でも、僕も違和感はあったよ。さすがに入れ替わってるとまでは思わなかったけど」
「そうなの? 正直、ピーターは完璧に騙せると思ってたよ!」
上機嫌のジェームズに、ピーターは気弱に微笑むだけに留めた。
――突然『ピーター』なんて呼んでくるから、一体どうしたのかと思っていたけど、やっぱりあれはハリー本人ではなかったのだ。それはもちろんそうだろう。だって、いくら記憶を遡ってみても、ペティグリューと呼ばれたことすらないのだから。
ピーターの寂しげな表情には気づかずに、男子二人は盛り上がる。
「ジェームズ……お前って奴は……!」
「全然気づかないものだから、ホント見てて面白かったよ! パッドフットがこういうのに興味があるなんて、君達も知らなかったろう?」
「お前が俺にくれた奴だろ!」
「何のことか見に覚えないなあ」
わざとらしく惚けながら、ジェームズはひょいとポスターを奪い返した。
「なっ!」
「そうだ、ハリエットにも見せに行こうかなあ」
「ふざけたこと言うな! ジェームズ!」
シリウスの魔の手が迫っていることを機敏に察すると、ジェームズは軽い身のこなしで階段を駆け下りた。当然シリウスもその後を追う。バタバタと騒がしい男子達に眉を釣り上げるのは監督生リリーだ。
「一体何事? もう夜も遅いのよ」
「――リリー!」
この日一番――いや、今年一番の満面の笑みをジェームズは見せた。眩いばかりの笑顔にリリーは目を白黒させ、困惑の表情を浮かべた。
「どうしたの? ブラックが何かした?」
「いや、ちょっと――」
「何もしてない!」
奮然と言い返しながら、シリウスはすっかり腑抜けと化したジェームズの手からポスターを奪い返した。
「あっ、シリウス――」
「お前からもらった奴だってことエバンズにバラす」
この一言は的確に効いた。ジェームズはすっかり大人しくなったが、逆に心配になるのはリリーだ。
「ブラック、ハリーから何を取り上げたの? 虐めてるんじゃないでしょうね?」
「心外な。なあ、そんなことないよな、ハリー?」
「う、うん……大丈夫……」
ポスターを縮小し、シリウスは満足げにポケットに押し込んだ。これで目的は終了だが、悪戯仲間を野放しにするのはどうにも不安で、近くのソファにどっかり腰を下ろした。
「本当に大丈夫? 何かあったら、私やリーマスに相談するのよ」
「うん、ありがとう」
しおらしくジェームズは笑ってみせた。どこかソワソワと落ち着きが足りない。
「リリー……アー、調子はどうだい?」
「……? 別に大丈夫よ」
「なら良かった」
「…………」
それどころか、次から次へと手汗が出てくる。バレることに怖気づいているのではない。リリーの優しさ溢れる声に、表情に、いつもの余裕が戻ってこないのだ。
笑いを噛み殺したシリウスと目が合い、ジェームズはムッとしたが、この状況ではろくに言い返すこともできない。
友人からレポートのヘルプを頼まれ、リリーは去っていった。ジェームズは脱力感に襲われ、ソファに崩れ落ちた。
「大丈夫?」
上から降ってきた声がリリーに似ていて、ジェームズは思わずガバリと顔を上げた。予想と違わず、彼女とそっくりな顔が自分を見つめていて――しかし、違う。彼女はリリーではない。よく似ていても別人だ。
「うん、大丈夫」
へらりと見上げる先にはハリエット。彼女の目の前では、二本の編み棒が、ネイビーの毛糸と共に踊るようにして宙を動いている。
「編み物?」
「ええ、ハーマイオニーに教えてもらって。魔法ってすごいわね。なんでもできるの」
目を凝らしてみても、残念ながらジェームズはハリエットが何を作っているのかは分からなかった。ヒトデのようにも見える何かだということは分かる。
「まだ練習中よ」
言い訳するようにハリエットが付け加えた。
「出来上がったら僕にもくれる?」
「本命の後でね」
いたずらっぽく言うハリエットに、ジェームズは目を丸くした。
「好きな人がいるの?」
「何言ってるの?」
ハリエットはきょとんとして聞き返した。詳しく尋ねることもできずに、ジェームズは取り繕ったようにへらりと笑った。ハリーは、『本命』の意味を知っているのだろうか?
「ハリー、上でゲームの続きをやろう」
不意にシリウスが立ち上がった。良いところなのに、と思わずジェームズがそちらを見やれば、シリウスがトンと自分の頭を叩いた。反射的にジェームズも自分の髪に手をやり――気づいた。縮み薬の効果が切れ始めていた。
「あっ、じゃあ僕そろそろ上に行くよ」
「おやすみなさい、ハリー」
「おやすみ」
実を言うと、今すぐにでもハリエットやハーマイオニーに今回の悪戯についてネタばらしをしたい所だが、生憎と今は人の目が多すぎる。その中でも特にリリーにはバレたくなかった。こんなことが知られたら最後、ハリーまで巻き込んだことを糾弾され、ますます軽蔑されるに違いない。
とりあえず後で全て明かすことを決め、ジェームズは寝室へと歩き出した。ハーマイオニーとすれ違い、軽く目配せする。もうネグリジェに着替えていて、どこか眠そうな顔だ。
「ハリエット、上手くなってきたわね」
「そう? ありがとう!」
嬉しそうにハリエットはヒトデのようなものを触って形を整えた。手袋のようにも見えなくもない。
「でもまだまだよ。お父さん達、喜んでくれると良いけど――」
辺りを憚るような声だが、リリーに似たその声は、雑音をものともせずに一番にジェームズの耳に飛び込んでくる。思いがけない言葉に、ジェームズは振り向いた。
お父さん? ハリエットの両親は、亡くなったのではなかっただろうか?
だが、ジェームズは特に気に留めずにそのまま歩き出した。亡くなった人を想い、贈り物をすることもあるだろう。
それよりも、今はネタばらしの時間だ!
徐々に黒髪が伸びつつあるのを、くしゃくしゃかき回すことで誤魔化し、大股で先を行くシリウスに歩いて追いつく。
「パッドフット、何か機嫌悪い?」
「自分には思い当たる節がないって言うのか?」
「シリウスくーん、君はいつまでもそんなこと根に持つような男じゃないだろう?」
階段を登るうちに、すっかり本来の姿に戻ったジェームズ。寝室に入ると共にハリーと制服を交換し、ようやくそれぞれ落ち着いた。
「気が済んだか?」
「まあね。皆の驚いた顔も見れたし、残すはハリエット達だけだ!」
意気揚々と寝室を出たジェームズは、眠そうな女子二人を言葉巧みに寝室まで連れてきた。そうして、身振り手振り、臨場感たっぷりに悪戯の全貌を明かしていく。始めはポカンとしていたハリエットも、次第に見る見る顔を赤くしたり青くしたり大忙しになった。
「つまりは……さっき私が話したのはジェームズだってことね?」
「ご名答! 双子だからもしかしたら気付くかもと思ったんだけど、全然分からなかった?」
「あ、あ、当たり前よ!」
ハリエットは勢い込んで叫んだ。双子だったのに気付かなかったとか、そういう類の焦りではない。そんなことよりも――。
「ジェームズ、それよりも、さっきのは冗談だから!」
「冗談? 本命のこと?」
「本命? 何の話?」
「わーっ、わーっ!」
ハリエットは物理的にジェームズの口を塞ぎにかかったが、そんなことをしなくても、ジェームズは事の次第をバラすつもりはなかった。
とはいえ、ハリエットからしてみればこれは大いに重要な案件だ。確かに、手編みをプレゼントする相手は一番大切な人達なのだから、本命は本命だが、恋愛という意味においての本命だと思われたら、二度とジェームズに手編みのプレゼントができなくなってしまう。それでは、今頑張って練習している意味がなくなってしまう!
本当に違うのよとハリエットは何度も否定したが、頑張れば頑張るほど、それが余計に真実味を帯びて聞こえるとはハリエットは気づきもしない。それどころか、『本命』という言葉が彷彿とさせる話題に誰しもが行き当たり、そして薄っすら気付きつつあった何人かの確信を更に強める。――ハリエットはジェームズに恋をしているのではないかと。
「ハーマイオニーは落ち着いてるね。やっぱり気づいてた?」
ハリエットの慌て振りも何のその、『本命』が父親のことだと理解しているジェームズはハーマイオニーを見た。
「元気の出る呪文で薄らとね」
「それでも、別人だって気づいたことがすごいよ。普通考えつきもしない。シリウスですら気付きもしなかったのに」
悪かったな、と零すシリウスの傍ら、ハーマイオニーはハリーと目配せした。そりゃあ、ポリジュース薬で別人になりすました経験があるだけに、そういう可能性だって思いつくだろう。とはいえ、ハーマイオニーはポリジュース薬の方を疑っていたのだが。
『禁書に手を出さなくても、そういう害のない方法もあるってことすっかり忘れていたわ』と囁けば、ハリーも今回のあまりに優等生な悪戯を思い返し、声をあげて笑った。